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   金剛蔵王金色夜叉 <学習する投機師、反省しない投資家>

                   1999年04月06日号 

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                  「狼は生きろ、豚は死ね」



〜〜〜〜〜〜〜〜         「破戒・懺悔」の章        〜〜〜〜〜〜〜〜


最近、耳から離れない言葉がある。 

それが事あるごとに私を責め、悩ませる。

手塚治虫氏の「ブラックジャック」の中の一節なのだが、

もう20年も前に読んだだけなので、正確には覚えていない。

だから、形を変えて、私にはこう聞こえる。

「人間が、相場の上下をどうにかしようとするのは
(予測することすらも)、
人間の生死をどうにかしようとするのと同じく、

おこがましいこととは思わんかね・・・。」


申し訳ありません、本間先生・・・。 m(__)m


結局は相場の上下なんて誰にも、分かりはしない。

相場が人工的な経済現象か、それとも天気のような自然現象か、はたまた
経済自体も自然現象として捉えるべきなのか。



人間の生死が、現在、生存している人は、必ず過去に生まれ、また必ず
将来、死亡すると運命づけられているように、現在の下げ相場は、必ず
どこかで、下げ止まり、反転して上昇する(、と運命づけられている)。

しかし、それが、一体いつなのか。

わからないからこそ、人間は様々な方法で予測しようとする。

「相場を予測することと、儲けることは別物である」という
言葉があるが、

どんな人でも、建玉の際は、ある程度、その人なりに予測、予想、または
見通しをたてて、臨んでおられることだと思う。

1枚や2枚の「試し玉」を建てる時ですら、やはりそうされるだろう。

値頃感、というものも立派に売買の「動機」にはなるだろう・・・。


逆に「自分の予測」と逆に建玉したり、または、一切邪念なしの無心で
建玉できるひとは、自分自身を理解しきった最強の投機家か、または、
全然何にも(金銭の値打ちさえも)考えていない最低の投資家か、
どちらかではないか・・。


私の場合は、というと・・・。


前号で述べた大阪ゴム指数の玉は、一代安値更新のため、すぐに損切り。

しかし、いったん持ち直したかな、と思った99年5月限の77.1を買い、
さらに76.5も買い。

その後もズルズルと下がりつづけたので、「底値が近い」ことを信じて
両建て・・・。

その後、売り増ししようとして売り越したところが1月4日の底・・・。(T_T)

すぐに売り増し玉は損切り、以前から両建てで売っていた玉は利食い、
しかし、途転して買い玉を新規に建てるほどには相場の上昇に対して
自信がなかった。



昨年に
急いで買った
ゴム指数

切りたくもあり
切りたくもなし      不比等


今年の年始はまさにこの短歌どおり、なかなか切れなかった。

そのままにしておいたら、タイの産地でのゴムの買い付けで急上昇。

いったん82.5まで上昇したので、利食っても、
ツナいでも(利が乗っている玉を手仕舞わずに残したまま、新規に
反対の玉を建てても)、よかったのにそのままにしてしまった。

その後、急上昇に対する調整安。 

さらに、タイが、今までに買い付けたゴムを今度は日本や中国に売る
という材料が弱気の材料となり、一段安。

大幅な円安にもほとんど反応しなくなったので、一時撤退を決意。

1月29日の後場一節に損切り。

1999年5月限 を75. 95にて・・。

2時間後の後場3節には74.40まで下がってしまった。
傷口を広げなかっただけでも、まだマシか・・・。

儲けられるときに儲けなかった(利食える時に利食わなかった)
罰だと反省してます・・・・。(T_T)

3ヶ月以上に渡るゴム指数底値拾い作戦は、1枚〜3枚以内の売買
だったので、金額的なマイナスはそれほどではありませんが、
作戦的には、大失敗。

その後は、タイがINRO脱退を決定し、ゴム指数はさらに上場以来最安値を更新。 
もうズブズブ・・・。 
早目にこの我慢レースを降りることができただけでも、
まだマシかもしれない・・・。

なんせ、大阪ゴム指数5月限なんか、今では67〜69前後をウロウロ
ですからね〜。 (-_-;)


なぜ失敗したのかを考えてみると・・・

1. もともと私は順張りオンリーだったのに、あえて、底値を拾おうと
今までしたこともない逆張り作戦をたてたこと。

2.自分のチャットで、書き込みをしていたこと。

3.世界の商品市場のデフレ現象、また、その原因となった、
東南アジア(更には後から起こったロシア、中南米)の通貨危機を
認識しつつも、値ごろ感から軽視し、油断したこと。

4.ゴム指数のような順ザヤの商品に「買い」で長期戦を
挑んでしまったこと。


それぞれのケースについて自分なりに白黒はっきりさせたいと
思います。



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1. もともと私は順張りオンリーだったのに、あえて、底値を拾おうと
今までしたこともない逆張り作戦をたてたこと


 (長期トレンドで)上がっているのを追いかけて買い玉を建てる、
(長期トレンドで)下がっているのを追いかけて売り玉を建てる・・・。

私はどちらかといえば「順張り派」で、

玉を建てるにしても、必ず1枚から、試し玉のつもりで建て、

また必ず、ストップロスを設定していた。

これを、1997年の銀の逆張り失敗の時から、ずっと続けてきた。


しかし、損切りしたらすぐに相場が反転する
(例えば、売り玉を損切りしたとたん相場が下落、買い玉を損切りした
とたん相場が上昇という)パターンが頻発、

複数枚建てている時は、一度に全部手仕舞わずに、分割で手仕舞いしたり、
また途中で「ツナギ」という手法を覚え、それを実行したり
してきたが、長期間にわたる収支というのは、少しずつ目減りして
ゆき、また建てたり仕切ったりの繰り返しで、手数料だけは着実に
損となっていった。

1998年はマイナスで終わったが、その損失の半分ちかくは手数料だった。

なんとかしなければ、と思い、昨年後半に思いついたのが、
ゴムの底値拾い作戦・・・。

結果は、惨敗。

アメリカの投資の金言に
「相場の底を買おうとするな、天井を売ろうとするな。」というのが
あるらしい。

こんなことをいうと、「そんなこと言ってたら、いつまでたっても、
天井や底を掴めないよ・・・」と突っ込みが入りそうだが、
今の私には、この言葉の意味が良くわかる。

「今、相場が安いからというだけで買うと、近い将来、さらに安くなる
可能性がある。同様に、今、相場が高いからというだけで売ると、
近い将来、さらに高くなる可能性がある。
下がっている途中、または上がっている途中で『今が底だ、天井だ』と
仕掛けるのは良くない。 もう少し時間がたってからでも遅くはない。」



また、今はやりの
商品先物取引会社の手数料引き下げが実施されても、 手数料の問題は
残る・・・。

例えばの話だが、 ある年に70万円損して、そのうち、手数料が35万円
と、半分を占めていたとする。

この場合だと、たとえ手数料引き下げで、60%割り引かれたとしても、
実質の損が35万円に
手数料が14万円 ( 35万×(100%−60%))、合計で49万円。

確かに金額は減ったが、それでも損は損。 

つまり、手数料が減額されても、損する投資の方法を続ける限り、結局は
損失で終わってしまい、儲けられない(全体でプラスサイドを維持する
ことができない)ということだ・・・。


それでは、損しにくい建玉法とは何か? ? ?

いったい、どうすれば・・・・???



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2.自分のチャットで、書き込みをしていたこと。


チャットに書き込んだ自分の相場観は、増幅され
自己暗示に陥ってしまう危険があるようです、少なくとも私は・・・。


それが、自分の直感を鈍らせて判断を遅らせてしまう。

どこかのチャットか掲示板で「言う人は知らず、知る人は言わず」
という老子の言葉が書き込まれていた。

残念ながら書き込んだ当人は、恐らく老子ほどの人格者ではないと
思われるが、

(なぜなら、チャットにわざわざ書き込んでも、恐らく反感を買うのがオチ! 
本当にこの言葉を理解している人格者であれば、当の本人こそ、この言葉を
書き込まないだろう、せっかく楽しくチャットで発言している人達に対して
・・・・。)

この言葉もある意味では正しいのではないか。

自分の相場観をしゃべってしまえば、自分でもひょっとしたらそのこと
が正しいのではないかと思い込んでしまうことがある。

チャートを書いていても一緒で、これは崩れた三尊型天井
(ヘッド・アンド・ショルダーズ・トップ)ではないか、と思い込むと、
そう見えてくるから不思議である。 錯覚(思い込み)にすぎないのに・・・。

思い込みというものは、意外に起こりやすく、そして多くの場合、
間違っている。

また、私自身にも経験があるが、チャットに参加したいと思う時と
いうのは、自分の判断に自信が持てず、迷っている場合が多い。

所詮、相場は孤独なもの・・・というのに、

「自分はこう建玉したぞ! みんなの意見を聞かせてくれ!」なんて

今から考えると赤面モノなのですが、自分が自らその渦中に
飛び込んでしまっている(自分自身でチャットを主催していた)
ときには、意外にそのことに気が付かないものなんです・・・。

以下のリンクを参照願いたい・・・。


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私の中の「ゾンビ」:第6感は本当にあるのか(前篇)(MSN World Report)

http://news.jp.msn.com/worldreport.asp?id=981119hunch

●「沈黙は金」? 言葉にすれば直観も消える


「何かを言葉にするということが、きわめてはっきりとした影響を
もたらすことがこれでわかった」とスクーラーは言う。
「それは、直観に基づいたせっかくの判断を鈍らせてしまうのだ」 

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チャットで発言する度、自分自身の建玉の判断に迷いが生じたり、
逆に変に自信が付いて強化されたりする。 しかし、それと、相場で
儲けることができるということとは全く別物なのだ・・・。



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3.世界の商品市場のデフレ現象、また、その原因となった、
東南アジア(更には後から起こったロシア、中南米)の通貨危機を
認識しつつも、軽視し、油断したこと。


以下の引用文は、昨年末の日経新聞からなので、
同じ記事を3ヶ月前に目を通された方もおられるはずだが、
あえてもう一度読んで、思い出して頂きたい。

特に、ゴムはあの頃よりも、ますます供給過多に傾こうとしている
(ことが明らかになりつつある)。


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国際商品 変わる価格構造

(上)コスト圧縮進む  <技術革新で競争力維持>

原油、非鉄、穀物といった国際商品が記録的な安値に沈んだ1998年。

国際商品の価格低迷の主因として需給ギャップの拡大が指摘されているが、
生産コスト、生産国の通貨事情、価格主導権の交代など、価格形成システム
そのものが従来と大きく様変わりしているのも見逃せない。
国際商品を取り巻く環境の変化を検証してみた。


金

・八月に1トロイオンス270ドル半ばという19年ぶりの安値をつけた。
従来、生産国の産金コストは300ドルとされ、この水準を下回れば
産金量は大きく後退する、というのが金市場の「常識」だった。

だが8月以降、産金量が大幅に落ち込んだという統計はない。

過去5年間で産金量を4倍以上に拡大したのがペルー。温泉鉱床の同国
ヤナコチャ鉱山の現金コストは「97年時点で98ドル」という。
アフリカのガーナでもコストの安い露天掘りによる有望鉱床が発見されており、
「道路などのインフラさえ整えば新たな金輸出国になり得る」
とされている。

北米の鉱山会社を中心にリストラが進み、1年で全体の4%に相当する不採算鉱山が
閉鎖されたこともあり、西側諸国平均で昨年250ドルだった
現金コストは6月には212ドルまで下がった。現金コストに減価償却費
なども加えた総コストは平均約260ドル。現状の相場水準である290
ドル台を下回っているのだ。


銅    

・新しい精練技術 SX/EW (溶媒抽出電解採取法)
によって大幅な精練コストの低下をはかれ、生産量は2000年までに
2割以上増える見通し。また、他の金属採掘時に採れる副産物として
量も無視できなくなっているほど増えてきている。(一部略)

ニッケル  

・南アフリカのアムプラッツ鉱山ではパラジウムの採掘時に、
ニッケル(昨年で2万トン)や、銅(昨年で1万トン)が副産物と
して、ノーコストで採れる。(一部略)

原油  
・1ドル10ドル割れが定着した格好の原油だが、
「サウジアラビアには 5ドル以下でも採算に乗る油田がある」というのが
市場関係者の一致した見方だ。(一部略)


大豆

・技術革新で商品そのものの性格、コストが一変しているのが農産物だ。
米農薬大手モンサントが開発した「遺伝子組み換え大豆」は除草剤の
使用量が平均22%減るほか、雑草に取られていた土壌中の栄養分が
作物に回り、収穫量が5%アップする。

アメリカ大豆協会の見通しによれば、(遺伝子組み換え大豆の)
米国での作付面積は全体の28%、99年は60%に達するという。
一見しただけでは通常栽培の大豆との差は認められないが、両者の
コスト差は歴然としているのだ。




コストという前提が崩れてしまえば、金の300ドル割れ、原油の
10ドル割れは単なる通過点でしかない。

世界で進む経営効率化や技術革新・・・。

国際商品は新たな価格体系を模索し始めているのかもしれない。



日本経済新聞 1998年12月22日(火曜日) 日刊より一部抜粋


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国際商品 変わる価格構造

(中)強い換金売り圧力  <通貨下落で輸出に動く>


アジアに端を発し、ロシア、中南米に飛び火した通貨危機。
通貨下落に見舞われた資源国の輸出競争力は以前にも増して高まり、
これにつれ勢力図が大きく塗り替わっている国際商品も目立っている。

木材

・9月、アジアの木材市場を衝撃が襲った。通貨ルピアの大幅切り下げ
を余儀なくされたインドネシアが、実に13年ぶりという原木の
輸出解禁を打ち出したためだ。

インドネシアの輸出業者によれば、「生産設備が必要な合板などと
違い、一次産品である原木は通貨安が即、輸出競争力の強化に
つながる」という。

アジア最大の原木輸出国であるマレーシアは、インドネシアの
低価格攻勢に対抗するため、計画中だった値上げ実施の見直しを
迫られている。


合成繊維原料

・旧ソ連崩壊後の混乱時以来、ほぼ5年ぶりというロシアの攻勢に
揺れているのがナイロン原料のカプロラクタム。
カプロラクタムは世界的にメーカーが少なく、合繊原料のなかでは
値動きが安定していたが、今夏以降はロシア産が日本、欧州産の
3割安の価格でアジア市場に大量の売りを浴びせている。

ロシア政府・中央銀行が8月下旬の通貨ルーブル切り下げを発表後、
1ヶ月で対ドルレートは3分の1に切り下がった。
産油国で自前の石化設備を持つロシアは、従来の半値でも利益確保は
可能とされる。

パラジウム

・最大の供給国であるロシアが通貨危機を契機に輸出を本格化したため、
5月に1トロイオンス 400ドルを超す史上最高値をつけた相場は
一時、270ドル台まで落ち込んだ。




アジア通貨危機を引き起こしたヘッジファンドなど大量の投機資金の
登場により、各国通貨が乱高下する可能性は従来に比べて格段に
強まっている。

資源国にとり、最も手っ取り早い外貨獲得手段は国際商品の売却。

マーケットは様々な局面で資源国からの売り圧力にさらされているのだ。



日本経済新聞 1998年12月23日(水曜日) 日刊より一部抜粋


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国際商品 変わる価格構造

(下)値決めの主役交代  <生産国の弱体化鮮明>


「産油国はついに価格主導権を失った。」

11月30日、連休明けのNYMEX (ニューヨーク・マーカンタイル
取引所) は騒然とした空気に包まれた。

原油価格の立て直し策を協議していた OPEC (石油輸出国機構)
の定例総会が減産強化に合意できず、同日は大量の失望売りから
先物価格(期近)が12年ぶりの安値である1バレル 11.22ドル
まで急落した。

過去の値下がり局面では幾度となく協調減産で市況回復に成功した
OPEC。しかし、今回は市場に産油国の利害調整の難しさを
印象づけるだけだった。その後、米原油先物は米英によるイラク空爆
にも反応薄で、現在も11ドル台で低迷している。

主要生産国の価格主導力が衰退しているのは天然ゴムも同様だ。
緩衝在庫制度で需給を調整してきたINRO(国際天然ゴム機関)は
今月も8日から5営業日連続で買い介入を実施したものの、価格は
上昇の気配すら見せなかった。

市場では最大生産国であるタイの脱退説も流れるなど、INROは
存亡の機に瀕している。10月にはINROの存在感の希薄さを
嫌気したマレーシアが脱退に踏み切った。

他の国際商品ではすでにコーヒー、ココアなどの国際カルテルが姿を
消しているが、タイの脱退が決まれば、「INROも実質的に
崩壊する」(外務省)。

一方、12月下旬には国際石油資本(メジャー)最大手の米エクソンに
よる同2位のモービルの買収が決定した。

石油では8月に英ブリティッシュ・ペトロリアムと米アモコの合併合意が
あったばかり。

穀物ではメジャー最大手のカーギルが11月に2位のコンチネンタル・
グレインの穀物部門の買収を発表した。

丸紅の柴田明夫 調査部産業調査課長は
「生産国の価格カルテル機能が低下するなか、個別商品の分野で
メジャーが3社程度に集約されれば、価格決定権は後者の手中に
収まる方向で進んでいく」と予測する。

また、原油の場合、採掘から精製、販売までの一貫体制を志向する
メジャーの合併はコスト低下に直結し、中・長期的な「安値構造」
につながるとの見方もある。



国際カルテルの衰退も巨大企業の再編も、需給緩和が従来の手法では
修復できないほどのスピードで進んでいることが背景にある。

アジア地域などの需要不振を映し、原油在庫は前年同期を1割上回る。
一部の商品には底入れ観測も出ているものの、生産コストの低下を
はじめとする様々な要因が加わって99年も急速な価格上昇は
見込みにくい。

国際商品市場の新秩序模索はさらに続きそうだ。


日本経済新聞 1998年12月25日(金曜日) 日刊より一部抜粋

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4.順ザヤの商品に「買い」で長期戦を挑んでしまったこと。

ゴムやゴム指数のような順ザヤの商品で「買い」を建てる場合、

注意しなければならないのが、いわゆる「サヤ滑り」。

当限が納会を迎える毎に
(つまり、自分の取り引きしている限月が当限に近づくにつれ)、
ジリジリと一限月のサヤの分だけ確実に
下がって(安くなって)いく。

私が今まで建ててきた買い玉はほとんどの場合、3日〜2週間程度で
早目、早めに仕切ってきたので、サヤ滑りの被害はほとんど無かったが、
今回の様に3ヶ月ほど玉を抱えてしまうと、サヤ滑りの恐怖をヒシヒシと
感じることになってしまった。


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最後にゴム指数の買い玉を全て手仕舞って、あれから2ヶ月・・・・。

この2ヶ月間、私は相場を離れていた・・・。

一つ目の理由として、自分の転職と引越しのため。

二つ目の理由としては、今は商品相場は前述した通り、一部の商品を
除いてデフレ気味であり、買い妙味がないため。 

やはり、今までの自分の戦歴を振り返ってみて、儲けることができたのは
「トレンドフォロー」(順張り)に徹して、
「ボラティリティーの高い」(いったん動意付くと変動幅の大きい)
商品(例えばパラジウムやゴム指数)の「買い」玉を建て、
(サヤ滑りを防ぐため、利益を確定するため、損失を最小限にするために)
「短期間」で決済したときが一番だったような気がします。

自分の得意技さえ編み出してそれを自分の専門にし、チャンスを逃さず、
タイミングを計り、ミスさえしなければ、次回はなんとかプラスサイド
へもっていくことができそうな気がする。

自分が一番得意な戦法を使えば良いのだから・・・。

慣れないゴム指数の「逆張り」で得た教訓は、
やはり「慣れないことはするな!」でした。


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本屋へ行って相場のコーナーを見に行くと、まず実感させられるのが、
相場関係で「実用書」といえるものは意外に少ないということでは
ないだろうか。

大きな書店ではそれなりに本の数だけは揃っているのだが、
読んでみて(内容と本の価格で)納得できる本というのは著者は
お決まりの(といっては失礼かな?)林 輝太郎氏や、林 康史氏、
立花氏、などの(そうそうたる)面々しか、私は思いだせない。

日本では、本当に相場を勉強するという点では難しい環境だと思う。
(南米やアフリカよりは、まだ恵まれているかもしれないが・・・)

まず、投資というものに対する考え方、心構えが、アメリカ人の
それは、やっぱり日本人とは違う。

逃げていないのだ・・・。

我々日本人なら、
「そんなの、研究している暇があるなら、まじめに働いた方がいいよ。
将来、ろくな死に方しないよ。」といってはじめから真剣に
取り組まない研究対象、例えば、競馬や、ブラックジャック
という、いわゆるギャンブルなどでも、ベイヤー氏の「スピード指数」
や数学者ソープ (Thorp)氏の「カード・カウンティング」など、
今では、数々のバリエーションがある方法を最初に考案したのも、
アメリカ人だ・・・。

投資に関しても同じ事がいえると思う。

最近のヘッジファンドや、アメリカ国内の株高現象などをみるにつけ、
アメリカという国では確実に投資家の裾野が広がっている。
投資という経済活動が本当に身近な事なのだ。

一方では、資産家たちが投資のプロ(ヘッジファンド)に自分達の
資産の運用を一任し、
そして他方では
(ヘッジファンドに運用を任せるほど資金を持っていない)
株式投資の初心者達が株を買いあさっている。

アメリカでは、こういう個人投資家への教育が進んでいるに違いない。

欧米から学ぶべきものはまだまだある、投資手法などにしても・・・。


次号からは、アメリカやヨーロッパの国々での商品先物投資の考え方、
手法などをいろいろ眺めていきたいと思っています。


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銀行株売りで荒稼ぎしたヘッジファンド「危機一髪」


日本長期信用銀行(長銀)の株を売り浴びせ窮地に追い込んだ
ヘッジファンドが、ロシア危機で巨額の損失を被った。
彼らはなぜ自らの投資リスクを「ヘッジ」(回避)できなかったのか。


9月半ば、富士銀行の子会社が米国で発行した優先証券の価格に異変が
起きた。売り攻勢で価格が暴落し一時は利回りが米国債を20%以上も
上回ったのだ。ロシア危機で巨額の損失を被ったヘッジファンドによる
投げ売りが原因だった。

これほど利回りが高いのに買い手がつかない異常事態に、一部の
ヘッジファンドは逆張りに動いた。「デフォルト・プット」と
呼ばれるオプションと一緒に富士の優先証券を買ったのだ。
デフォルト・プットを買えば、富士が破綻した時に巨額の
儲けが出る。破綻しなければ、優先証券の年間20%を超える
高利回りが稼げる。

今年(1998年)6月以降、ヘッジファンドは貸株が底をつくまで長銀株を空売りし
大儲けした。 だが、長銀株を売るだけでは銀行株全体の値上がりリスク
をヘッジできない。そこで、東京三菱銀行の株を長銀売りと同額買った。
ここのところ、東京三菱銀行の株価がさえない一因は、長銀株の
手仕舞いに伴う反対売買(長銀株の買い戻しと東京三菱株の売り)にも
あるといわれる。

長銀と東京三菱株のような売り買いは「ペア・トレード」と呼ばれ、
ヘッジファンドの投資スタイルの一つの典型となっている。

ペア・トレードは、よい銘柄と悪い銘柄の抱き合わせだけではない。

たとえば、あるヘッジファンドはJR東日本とJR西日本のペア・トレードで
儲けている。両社の経営環境、事業構造は似通っており、理論的には
株価も同じように上下するはず。ところが、日々の株価は同じようには
動かない。そこで、コンピュータを駆使して両社の理論株価を計算し、
割安なら買い、割高なら売る。これを毎日のように繰り返して利益を
上げる。

富士や長銀、あるいはJRの例でみるように、市場の非合理性を徹底して
突き、相場がどちらに転んでも利益を出せるのがヘッジファンドの
真骨頂だ。

(中略)

にも関わらず、ロシア危機では複数のヘッジファンドが数千億円の損失
を計上し解散に追い込まれた。

(中略)

「先進国の市場では先物・オプションといったデリバティブが発達し、
市場取引も盛んなので、投資リスクのヘッジ手段がいくらでもある。
だが、ロシアなどデリバティブが未発達な国ではヘッジしたくとも、
その手だてがない。」

シンガポールで和製ヘッジファンドを運用する須永晃・日本デリバティブ
コンサルタント社長はそう指摘する。

LTCMや有名なジョージ・ソロス氏のクォンタム・ファンドの運用資産は
数千億、兆円規模に達する。こうなると米国内では運用しきれず、
収益機会の多い新興市場に投資資金は向かう。

しかし、そうした新興市場には繰り返すがヘッジ手段がない。
相場観が外れれば大火傷を負うのは必然の状況だった。

(中略)

だが、ヘッジファンドの時代が終わった、と決めつけるのは早計に
すぎるだろう。

巨額の損失を出したのはヘッジファンド全体からすれば、ほんの一部に
すぎない。ロシア危機で逆に儲けているファンドもある。

(後略)




週刊ダイヤモンド 1998年10月10日号  36ページより一部抜粋


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(前略)

それなりに社会の構造や人間の表裏をある程度見たつもりだったが、
商品先物取引の世界で そんな思いは根底から見事に
くつがえされてしまった。
一般の人間社会には好きとか嫌い、あるいは正義などといった
感情が存在するがこの世界にはそんなものはないのである。

人はよく「組織の中の歯車だけで一生を終わりたくない。」
などというが、この世界では自分以外のものは自分の手持ちの
将棋やゲームの駒でしかない。この業界の営業マン達がいう
百万円程度のゴミと呼ばれる客も、数億の上客も仲間も彼らにとっては
すべて自分のための駒でしかない。

集団で仕手相場をつくる場合も、外見上はボスが主導権を握って
方向付けをしているように見えるが、仕手戦のために大金を出す
大物スポンサーもこうしたゴミの客も、同盟を組んだ仲間も
実はゲームのための駒の一種でしかないのである。

他人は「組織の中の単なる歯車」どころかたった一枚の駒か、
すごろくのサイコロでしかないのである。それでいながら
同業者同士の間には奇妙な連帯感を存在させ、今日は昨日の敵と
手を組んで、仕手相場をつくるのである。

ましてこうした仕手戦にうまく便乗し一儲けを企む一般客などは
彼らにとって鴨が葱を背負ってくるなどといったなまやさしいもの
ではない。

鴨鍋に必要なすべての具に調味料を揃え、鍋とガスコンロを用意し
さらに特上の酒まで用意してきたようなものである。
もちろん徳利もおちょこも揃えてである。

このての客は、ただの「ちょうちん」でしかない。行列を賑わすための
提灯が勝手に動いているだけなのである。死のうと生きようと意に
介さないのである。蟻や虫はいくらでも彼らの周囲に次から次と湧いて
甘い蜜を運んでくれるのである。

しかし世の中には彼等以上に知恵と狡猾さを備えた者もいるのである。
商品先物取引というのは有名無実の取り引きではない。
かならず取り引きの対象となる商品が存在しなければならない。
例えば、生糸や乾繭、小豆、金をはじめとするプラチナや銀などの
貴金属などがよく知られた商品であろう。


先物市場の商品はいずれも日本国内では生産されなかったり、
生産されても極めて少量であったりで市場の需要を満たすには
不充分なものがほとんどである。また世界の気候や経済の動向によって
産出量も常に不安定であり、価格も大きく変動するものでもある。

そのため国の機関による生産調整や輸入、緊急時用の在庫放出など
によって価格の安定化が図られることがあるのだが、その実権を握る、
あるいは影響力を持つ人々によって彼らの利益のために輸入量や
在庫放出量が調整されるのである。

実はそのことにも触れたかったのだが あまりにもなまなましく、
また関係者ならすぐ名前を言い当てられる政治家、これをとりまく
ある種の団体などによってこの本の発行に差し支えが生じるようでは
困るので適当な時期が来るまで割愛させて頂いた。

私とて生身の人間である。痛い思いをするのはいやだ。もちろん命も
惜しい。なにしろ生死という事実さえ否定されかねない世界なのである。

ことほどかようにこの世界には魑魅魍魎が跋扈し、やりたい放題のことを
していると考えて間違いない。それでも一攫千金の夢が時として叶えられる
偶然があるということも否定できない事実である。

私が関わった商品先物取引員の会社で数億の利を得、小切手を拒否して
現金をジュラルミンのカバンに詰め込んでいった客はわずかな人数
ではない。


(後略)


1993年10月

「仕手相場」  こずかた 治  のあとがきより一部抜粋

 徳間文庫

ISBN 4-19-890022-1

定価 520円



生糸、乾繭の先物取引。 一儲けを企む相場師達にとっては、
僅かな資本で価格操作が容易な特殊な世界だ。
「コブラの星正」と呼ばれる関西の相場師・星田は、
大掛かりな仕手戦で傷手を負っていた。強引な戦略による
敵側の総反撃と思わぬ病のため、一敗地にまみれたのだ。
星田は所有する大桑商事を売り渡し、自身は顧問として
居座り、再度、仕手戦に挑む。仲間を裏切り、敵と結ぶ
壮絶な戦いが始まった。


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突然ですが・・・、


今年の元旦は伊勢神宮に初詣にいってきました。

「どうか頑張りますので、今年は収支をプラスで終わりますように・・。」


卑しくも相場の儲けを神頼みしたのは、商品先物取引を始めてから、
これが初めてです。

なんとか変わらなければ・・・・。 

大きな変化が必要なのだ、自分には・・・。



それにしても、「頑張る」 というのは 便利な言葉だ。

私は、情けないことに、この言葉を職場で多様している。 (-_-;)


日本人は「努力」という言葉が好きなのかな・・。


「いいわね〜。相場で楽して濡れ手の粟で。」  

不労所得者の烙印を
押されて、裏で近所のおばさんに、そういう風に陰口を
たたかれるように、なりたいものだ。


なぜなら、すべての人が、相場で成功することなど不可能だからだ。

負ける人がいるからこそ、潤う人がいる。

そして、今、儲けているからといって、その利益がいつまで
手元に残っているものなのか、だれにもわからない。

人は自分の欲しいものをすべて相場から手にいれるという。

金、ざんげ、後悔、喜び、人生の教訓・・・

逆に、何かを手に入れた瞬間、他の大事なものを
気がつかぬ間に失っているのかもしれない。


勝ちつづける(年間収支を連続プラスにする)為には頑張るだけ
じゃだめだ。

素質、センスが必要なんだ。

プロのスポーツ選手は生まれ持った素質があるのだ。

普通の人は、どんなに頑張っても恐らく、

頑張っても、ものにならないこともあるのだ。


なぜか、そんな気がしてならない。

「相場は芸術だ」と言う人がいる。

もし、そうならば、大部分の相場の参加者の様に
兼業や趣味(人生の楽しみ?)ではなく、
専業(プロ)としてこの世界で生きていくには、
芸術家(音楽家、画家など)と同じような
天性(素質)というものが必要なのでは???

単に頭がいい、というだけでは説明できない
直感や天性(素質)のようなものが必要なのだと思う。


こんなことしていて、将来、自分は本当に相場師として、
飯を食っていけるのだろうか・・・。

本当に相場だけで・・・。

自分が相場師として、適格者なのか、否か・・・。

それには、自分を試すしかない。

迷うな、迷ったら立ち止まって休め。

頭で考え込むな、 全身の感覚を使って相場の動きを感じ取れ。

この怠け者で、楽をしたくてしょうがない自分自身とたたかってやる。

今までの自分は、ただ単に逃げていただけだったんだ、相場の重圧から。

これは試し玉だからとか、1〜3枚程度の玉しか建てないからとか、
建玉するときに、失敗したときの言い訳ばかり考えていて、真剣さが
足りなかった。

今は、相場をいったん休み、
充分に休養をとり、将来必ず、相場に舞い戻る。


それまでに、必要な準備を整えなければ・・・・。


かつて、ある文豪が言ったという言葉を思い出す。


「この世は素晴らしい。  たたかうだけの価値がある。」


銃で自殺して最期を遂げた者とは思えない言葉だよ・・・、

パパ・ヘミングウェイ・・・・・。



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不比等


<著者略歴>

兵庫県出身。
現在、神戸市中央区在住、現在30歳、相場を始めて3年目になるが、
すでに天国と地獄を経験している。
阪神大震災では九死に一生を得、瓦礫の山と化した街中で「諸行無常」を実感。
一時、オリオン交易(株)本社で登録外務員として勤務。

現在は退社し、残りの人生を「商品先物取引」の未来に賭ける。
アメリカの ユタ州 WEBER STATE UNIVERSITY 卒業。
COMPUTER INFORMATION SYSTEMS 専攻。 


HP

不比等・向銭看              http://fuhi.to/


※『向銭看』とは中国語(普通話?)で「金銭万能主義」、「拝金主義」の
意味らしい。

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